研究について

研究の3本柱

研究紹介

当研究室では、固体触媒、特に酸化物や化合物などの構造の規定された表面を作成して、それを原子レベルでキャラクタリゼーションし、構造と反応相関および反応機構の解明を行っています。

特に、北海道大学 触媒科学研究所 構造制御表面反応場研究クラスターや高エネルギー加速器研究機構(KEK)、分子科学研究所(IMS)、東京医科歯科大学(TMDU)、産業技術総合研究所(AIST)、大型放射光施設(Spring8)と連携をとりながら、構造が規定される単結晶表面を対象として、放射光、X線自由電子レーザー、ミュオン、陽電子と言った新しい量子ビーム手法を用いて、その表面構造を研究しています。

また、きれいな単結晶表面を作り、そこでの構造と反応の関連を調べています。

《新機触媒物質創成》 ナノ世界の化学現象を操る

単結晶表面は構造が規定されていますので、観測や制御しやすい表面です。こうした表面の性質を使って、表面を修飾して構造の整った物質を作っています。TiO2(110)表面は、カルボン酸を化学吸着します。そこで、-COOH基と金属を吸着しやすい-SH基もつメルカプト安息香酸をTiO2(110)に吸着させ、それ自身では凝集しやすいCuやAuを蒸着しました。すると、原子状に高分散する新しい化学種を作ることができます。安息香酸の異性体を使うことで、表面の原子状金属種の形をかえることもできます。この表面でどういう反応が起こるかを調べています。

新機触媒物質創成 図

《新手法開発》 ナノ世界の化学現象を見る

当研究室では新しい表面ナノ分析装置を開発しています。例えば、X線を表面すれすれで入射し、全反射させると物質内部に浸透することなく表面敏感に構造を知ることができるようになります。これを利用して、表面に高分散した原子種の構造を立体的に知ることができる全反射蛍光XAFS法を開発しました。これにより、TiO2(110)表面に左記の図に示すようなNiナノクラスターの構造を決定できました。

新手法開発 図

《新概念創出》 表面研究異常なし

表面はバルクとは違うという風に言われます。しかし、表面の多くの現象は物質の基本原理とは合わない特殊な世界と考えるのは間違っています。もちろん表面特有の現象はたくさんありますが、それらは、すべて私たちの物質観によって理解できると考えています。例えば、酸化物表面に単原子Ni種を分散させようとしたときに、Niは酸素と結合を作りたがりますし、酸素のダングリンボンドがNiの吸着するサイトであります。また酸素欠陥の周りで金属クラスターができやすいと考えられていますが、酸素欠陥をつくるカチオンとNiが結合を作るのではなく、酸素がないため、Niの動きが止められ、そこに次々とNiが拡散してきてNiクラスターをつくるということで理解できるのです。


興味がある方は是非遊びに来てください。