バイオポリマー研究クラスター<展開型>

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生体高分子を精密に合成し、高次構造における動的な特性を解明する

リーダー 小山 靖人

メンバー 福岡 淳、門出 健次、芹澤 武

本研究では生体高分子の精密合成法の開発と、その高次構造の動的な特性の解明を目的とする。生体内に存在する糖質、タンパク質、核酸のみならず、あらゆる生体高分子及びそれらの構造類縁体を研究の対象とするが、特に糖鎖について重点的に研究する。

生体内の細胞表面にはタンパク質や脂質と結合している複合糖質が存在する。それらはドメインを形成し、単独あるいは複数の糖鎖が作り出す空間によって特定の分子を認識し、多様な生理機能が生まれる。感染・疾病もこうしたドメインとの会合が関与していると考えられている。そのため、糖鎖の動的構造変化やその基礎的な分子認識機構の解明は危急の課題である。しかしながら現時点において、こうした研究に必要な構造明確な糖鎖の量的な確保が極めて困難であり、糖鎖が作り出す高次構造の動的性質は十分に解明されていない。また精密な不斉空間を持つ糖鎖を合理的に集積させたドメインを合成し、ドメイン構造の動的挙動に基づく革新的新素材の創製を目指すような研究もほとんどない。

そこで本研究ではまず高分子糖鎖1本が作り出す特異な空間に焦点を当て研究を推進する。糖鎖の高次構造を精密高分子合成の技術を駆使して合成し、その動的特性を超分子化学の見地から解明する。また多点認識・不斉内孔・刺激応答性という、糖鎖空間の特徴を活かした超分子材料の創製も目指す。