触媒はエネルギー・環境・物質変換など持続的な社会発展のための重要な科学技術です。触媒反応ではしばしば不規則な固体表面における特異な構造と電子状態が触媒活性に関与することが指摘されています。また、溶媒や助触媒の関与が本質的になる例が多く見受けられます。このような複雑系の電子状態、分子構造、動力学、統計的描像を明らかにするための理論計算手法を開発し、触媒原理の解明と触媒設計指針の提案を目指します。
理論化学:複雑な化学現象でも根本はシンプルな原理に基いている。触媒や蛋白質などが示す化学反応や物性の起源は、分子構造が複雑であっても、根本は電子の構造と分子のダイナミクスに由来します。 従って、量子化学や凝縮系の物理化学等が基礎となる諸原理を与えます。即ち、Schrödinger方程式やNewton方程式が根幹となる基礎方程式です。 これらの方程式を基盤として、化学現象を記述する理論を構築しています。
計算化学:観えないものを観る。測れないものを測る。確かな理論が存在するならば、そのような理論をソフトウエア化してコンピュータで計算することで、 リアルな仮想現実を創り、実験的に観測が困難な現象を観測し、或いは測定が困難な物性を算出できます。 研究対象となる化学現象の起源を明らかにし、更には物質設計シミュレーションが可能となります。
To overcome multiple complexities in catalytic mechanisms, we are developing QM/MM method, AIMD method, and analytical methods based on quantum and statistical mechanics. These methods are applied to the catalytic reactions of organic catalysts, transition-metal reagents, and heterogeneous catalysts.